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脱税摘発の現場から

実際の相談事例や体験をもとに、税務調査の実態や税制の抜け穴、立会いの仕方等を、山根治公認会計士・税理士が解説。税理士必見!
 【解説】山根治公認会計士・税理士

【第二部】税務署なんて恐くない!

8. 税務調査の立会い2 (2011-01-25)


税務調査の立会い-不正認定

 税務調査において不当な事実認定が横行している。事実に反することを事実であるかの如く繕って、偽りの認定をするのである。前回述べたところである。

 税務に関する事実認定の中でもとりわけ重要なものは、脱税に直結する不正認定だ。ところが、この不正認定が驚くほどズサンである。いとも気軽になされているのが現在の日本における税務調査の実態だ。

 では、不正認定とは何か。

 法人税法は、「偽りその他不正の行為により…法人税を免れ、…又は法人税の還付を受けた」ことを逋脱(ほだつ。脱税のこと)とし、逋脱を行った法人の代表者等に対して、「5年以下の懲役に処す」(法人税法第159条第1項)と規定する。所得税法(所得税法第238条第1項)、相続税法(相続税法第68条第1項)も同様の規定をしている。いわゆる脱税犯罪の規定である。

 つまり、脱税犯罪は、

  1. 偽りその他不正の行為
  2. 税を免れること(又は税の還付を受けること)

の2つの要件(構成要件)によって成立する犯罪である。

 不正認定とは、この2つの要件を税務当局が認定することに他ならない。

 脱税を摘発するのは、通常の税務職員ではない。摘発の任にあたるのは国税犯則取締法(国犯法-コッパン法と呼ばれている)に規定されている収税官吏(ふつう国税査察官と呼ばれている)であり、各国税局長によって税務職員の中から任命される。(冤罪を創る人々 藤原孝行 国税査察官証票

 国犯法は刑事訴訟法の特別法だ。明治憲法下に成立した、カビが生えたようなこの法律は、脱税犯を調査し告発する権限(犯則調査権)を国税査察官に与えているが、違憲の疑いさえ指摘されている(※注)シロモノである。

 国犯法の領域(強制調査)である不正認定と似て非なるものに、各種税法に規定されている税務調査(任意調査)における重加認定がある。

 重加認定とは、重加算税賦課の認定のことで、国税通則法に規定されているものだ(同法第68条)。「事実の仮装・隠ぺい」があったときに、加算税に代えて重加算税を課すとする規定である。

 不正認定は刑事処分であるのに対して、重加認定は行政処分である。両者は似てはいるものの全く異なったものである。「偽りその他不正の行為」(不正行為)は、「事実の仮装・隠ぺい」よりも幅の広い概念であるとされ、「事実の仮装・隠ぺい」は「偽りその他不正の行為」に含まれる。下図に示す通りである。

仮装隠ぺいと偽りその他不正の行為

 ところが困ったことは、両者ともに具体性を欠く、抽象的な規定であることだ。とりわけ行政処分の際に問題となる「仮装・隠ぺい」の内容が明確にされていないことから、勝手気ままな処分が日常的に行われている現実がある。

 たしかに、「仮装・隠ぺい」については、もっともらしい通達(法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)-国税庁申告所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)-国税庁)が出されてはいる。しかし、これらの通達では必ずしも仮装・隠ぺいの概念が明確にされているとはいえず、税務当局の裁量の余地が多分に残されている。

 更に問題なのは、国税当局は「不正行為」と「仮装・隠ぺい」とを同一視しているのではないかということだ。「仮装・隠ぺい」の事実がないものにまで重加算税が課せられているケースが多く見受けられるからである。

(注)

”戦後、一部改正を経ているとはいえ、実質的には明治憲法下の法律構造が維持されている。そのため、日本国憲法の意図する人権保障手続にてらしてみるとき、規定の不備や疑問のもたれる規定が少なくない。…

 つまり、国犯法の規定自体が、憲法の意図する人権保障手続を十分に配慮するものとはなっていない。“

 (北野弘久著、税法学原論-第6版、P.513)


税務調査の立会い-仮装・隠ぺい

 不正行為といわれても曖昧模糊としたものでよく分からないし、学説とか判例を見たりすれば益々分からなくなってくる。学者や裁判官が酢だのコンニャクだのと言い募っているだけだ。経済社会の現実、ことに数字が中心の税務に疎い、法律家の戯言(たわごと)だ。

 一方、いくら明確な規定がなされていないとはいえ、仮装・隠ぺいは具体的な「事実」だ。仮装という事実、あるいは隠ぺいという事実である。外形的、具体的に指摘することができる事実である。

 たとえば、裏帳簿(二重帳簿、B勘)を作成して、売上の除外金を管理していたというケースは隠ぺいの事実そのものであるし、あるいは、愛人とか架空の人物を社員ということにして人件費を計上していたといったケースは仮装の事実である。

 このようなケースは勿論争いの余地のないもので、重加認定をされても仕方のないものだ。

 ところが現実には、仮装とか隠ぺいの事実がないにも拘らず重加認定がなされているケースが多発している。なんとなくおかしい、何か怪しい、不自然だといった程度のことで重加認定がなされているのである。

 何故このようなことが起るのか。税務調査において脱漏所得(所得のモレ)の説明はそれなりに税務署側からなされるものの、重加認定についてはほとんど触れられることがないからだ。

 一通りの調査が終ると所得のモレを一覧表にした書類(指摘事項一覧表)が納税者に渡され、それをもとにして調査結果の説明がなされる。

指摘事項一覧表

NO. 決算期1 決算期2 決算期3 不正 合計 摘要
1. ×××円 ×××円 ×××円 ×××円
2. ×××円 ×××円 ×××円 ×××円
3. ×××円 ×××円 ×××円 ×××円
4. ×××円 ×××円 ×××円 ×××円
合計 ×××円 ×××円 ×××円 ×××円
(内 ×××円)

 重加認定については、一覧表に申し訳ていどに記載されているにとどまり、納税者の側から説明を求めない限り、税務署側から説明されることはない。

 通常、表の中に一つの欄(不正欄)がもうけられており、そこに○印がつけられているのが不正所得(正確に言えば仮装・隠ぺいによる所得のモレ)であり、不正所得の合計額は、全体の所得のモレの下に内書きされている。

 それだけであり、他に何の説明もない。重加認定をして何か文句があるか、といった感じである。場合によったら刑事訴追にも及びかねない重大なことであるにも拘らず、このように軽々しく扱われているのである。

 しかも、多くの場合、更正(税務署が職権で追徴処分をすること)ではなく、修正申告(納税者が税務署の慫慂にもとづいて自発的に申告額の修正を行うこと)がなされるのであるが、重加算税を含めた加算税の賦課決定は修正申告が提出されてから税務署が一方的にするものであり、修正申告が出されたからといって、納税者の意向が反映されることはない。修正申告書には重加算税に関連する記載項目がないからだ。

 北野税法学を樹立された故北野弘久先生は次のように指摘されている。

“どのような要件を充たす場合に加算税、特に「重加算税」(国税通則法68条)が課されるかについて、法の規定は不明確である。それは、事実において課税庁の「恣意」が大きく混入するおそれのあるものとなっている。

……

 また、現行法は加算税の課税手続について何ら「適正手続」への配慮を行っていない。現実的にも、いわば「隠密的」に、納税者に対して制裁が行われている。“

 (北野弘久著、「税法学原論」-第6版、P.509)

 ではどうしたらいいか。立会人である税理士が、重加認定の理由、即ち仮装・隠ぺいの事実の説明を税務職員に求めればいい。具体的な説明を求めるのである。説明を求めた上で、具体的な理由の摘示がなされないものについては重加認定を外すようにねばり強く交渉することだ。重加認定が外れた場合には、往々にして所得のモレ自体もなくなることが多い。「税務署なんか恐くない!-7」で取り上げた最近の料調の事例がまさにそれだ。

 また、重加認定がなされていなければ、何よりも刑事訴追のおそれがなくなる。納税者がもっとも心配していることが解消されるのである。

 納税者は税金のことについてはよく分からなくとも、お金のプロである。経営のプロであると言ってもいい。

 そのような納税者が、税務署が提示した課税処分(案)について、ことに重加認定について納得がいかない時は、ほとんどの場合税務署側が間違っていると考えてよい。税法は複雑怪奇なものではあるが、事実認定は税法とは基本的に関係ないからだ。納税者は当事者であるから、事実認定については誰よりもよく分るはずだ。税務職員が正しい事実認定をしているかどうかチェックするのは決して難しいことではない。

 納税者が正しい判断をするためには、重加認定の理由、即ち具体的な仮装・隠ぺいの事実が明確な形で摘示されるだけでよい。税務職員に対して明確な摘示を求め、納税者の正しい判断をサポートするのが立会人としての税理士の役割だ。


税務調査の立会い-会計工学の活用

 これまで税務調査の立会いにおける税理士の役割について論じてきた。要約すれば次の通りである。

  1. 税務当局の事実認定と法的判断が正しいかどうかチェックすること、
  2. 事実認定の中でもとくに重加認定が重要なものであること、
  3. 重加認定が予定されているときには、仮想・隠ぺいの具体的な事実の摘示を税務当局に求め、明確な摘示がなされない場合にはねばり強く交渉して重加認定を外してもらうこと。

 税務における事実認定は全てお金にからむことだ。あるいは、会計情報に関することであると言い換えてもよい。以下、本稿を締めるにあたって、重加認定を含む事実認定について、会計情報、即ち会計工学の立場から考えることとする。

 この会計情報は、特殊な情報であって一般の情報にはない特徴をもっている。

 その特徴とは何か。情報自体、合理的な性質を持っていることだ。このために会計情報に何らかの操作を加えて変形させたとしても、必ず復元し、元の姿が立ち現われる。操作が合理的なものでない限り、いくら加工をし細工をしても無駄である。真実の姿を覆い隠すことはできないのである。

 このような会計情報の合理性に着目して組み立てられるのが会計工学(Accounting Engineering)である。情報工学の中でも最も科学的なものだ。会計工学-現時点ではいまだ構想の段階であって、システムとしては完成していない。より正確に言えば、私の頭の中だけでシステムは完成されているものの、誰でも容易に活用できるシステム・ソフトとしては未完成であるということだ。このシステム・ソフトが完成した暁(あかつき)には、記帳システムが一変し、全世界的に用いられている複式簿記の会計にとって換るであろう。

 現在の複式簿記は会計工学の簡易版、あるいはアナログ版といったところであり、便利なものだ。使い方さえ誤らなければ会計情報を正しく理解することができるからである。しかも、簡単かつ短期間に修得できる勝れものだ。世界的に広まった所以(ゆえん)である。

 税務調査の立会いに際しては、今のところ簿記の知識、中でもキャッシュ・フロー(お金の流れ)とキャッシュ・バランス(お金の残高)を明らかにする資金会計の知識さえあれば十分だ。

 たしかに、債務の確定とか、所得、つまり益金と損金を算定する際の基準とされる「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(法人税法第22条第4項)などは、税務上極めて大切なものである。

 しかし、こと税務職員のインチキを見抜くことに関して言えば、これらはさほど役に立つものではない。それらには、一定の「判断」が入り込む余地があり、税務職員の間違いをチェックする決め手にはなりにくいからだ。

 この点、キャッシュに関しては「判断」の入り込む余地が全くない。キャッシュが動いたか動かなかったか、あるいはキャッシュがあったかなかったか、これらは厳然たる事実であり、曖昧なところは一切ない。

 つまり、キャッシュの観点から収支計算を見つめなおすことによって、真実の姿を浮かび上がらせるのである。浮かび上がってきた真実の姿と、税務職員が提示してきた問題点とを対比させれば、一目瞭然、間違いがたちどころに判明するわけだ。査察事案における6億円の水増しが明らかになったのは、まさにキャッシュの動きと残高を忠実に検証した結果であった。あるいは、一定の条件付きながら認められている推計課税(法人税法第131条、所得税法第156条)についても、安易な推計を排除するのはキャッシュのフロー(入と出)とバランス(残)のチェックである。ちなみに、「ホリエモンの錬金術」において堀江貴文氏のインチキを明らかにすることができたのは、キャッシュの動きを正確に追跡した結果であった。また、粉飾決算(偽って利益を過大に見せかけた財務書類)を見破るのも、キャッシュの動きが重要な鍵となることが多い。

 まさに、会計工学の基本公式、

「 IN (入) - OUT (出) = BALANCE (残) 」

の出番であり、その威力は絶大である。

(第二部 終了)



目次

【第一部】脱税摘発の現場から
1. 暴力装置としての徴税権力(2010-10-05)
2. 最近の相談事例(2010-10-05)
3. 隠れマルサ-料調の実態(2010-10-05)
4. 脱税・冤罪事件の3つの原因(2010-10-05)
5. 税制の抜け穴(2010-10-05)

【第二部】税務署なんて恐くない!
6. 恐さの正体(2011-01-25)
7. 税務調査の立会い1(2011-01-25)
8. 税務調査の立会い2(2011-01-25)


※「間違いだらけの税務調査」のご利用にあたっては、必ず注意事項をお読み下さい。

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