間違いだらけの税務調査 【無料相談窓口】税金6億円超を取り消させ、財産と信用を守り抜いた実体験をもとに実施中

冤罪を創る人々: ミラーページ (著者:山根治公認会計士・税理士

 国税局査察部(マルサ)を相手に税金6億円超(※加算税や地方税等を含めると20数億円)を取り消させ、財産と信用を守り抜いた闘いの実録。冤罪を創る人々のミラーページ。 *関連リンク
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082 鬼検事・越山会会長・ウンコ男 (2005-02-22)

5) 問わず語り

一、 中島行博は、話好きの男であった。とりわけ検事として自ら体験したことを語り出すと、生々と精気が漲り、誇らしそうであった。
 私は、会計士という職業柄、多くの人から、さまざまな問題について相談を受け、それぞれしかるべき回答を求められる。
 私の仕事の第一歩は、まず相談者の話をじっくり聞くことから始まる。必要な情報を得られるように誘導しながら、徹底的に話を聞くのである。従って私の場合、長々と他人の話を聞くことはさほど苦痛ではない。むしろ楽しみでさえあるといってよい。
 どのような状況に置かれている人でも、わざわざ私のところに相談に来る人は、真剣勝負をしている人生の一断面を携えてくるわけである。
 じっくり話を聞くうちに、私の中に共感が生じ、相談者の人生の一断面を、私もいわば共有する立場になる。その人の人生の一部分が私の想念の中で、私の人生と合致するようになると、楽しみの領域を超えて喜びの領域に入っていく。
 いずれにせよ、私は珍しい話を聞くのが大好きで、一流の聞き上手であると自負しているだけに、話好きの中島とはピッタリと息が合ったのである。
 題して「問わず語り」 ― 中島のプロ並みの話術が展開される。

二、 「鬼検事」
「オレが検事として初めて赴任したのは長崎地検だった。
 地元のチンピラが警察に逮捕されて、オレのところに連れてこられたことがあった。長崎にのさばっているワルの一人で、飲み屋などから、みかじめ料(用心棒代)をせしめては、しのぎにしている暴力団の下っ端だった。
 ところが、一軒だけみかじめ料を出し渋ったスナックがあった。示しがつかないと思ったんだろうね。見せしめのために、こやつ店に対していやがらせを始めた。 
 スナックのママが警察にかけ込んだが、今一歩のところでなかなかしょっぴくところまでにはいかなかった。そこらの呼吸をよく心得ていたんだな。
 ところがある日、いつものように店に嫌がらせをしていたんだが、勢い余って、店の入口のドアを蹴っとばしたところ、その拍子にドアのガラスにヒビが入ってしまった。
 警察はしめたとばかり喜んだというね。器物損壊と威力業務妨害でご用となった。
 このチンピラが見せしめのために店に執拗な嫌がらせをしたんだから、オレも見せしめのために、実刑を喰わせてやることにしたんだ。判決は、懲役8ヶ月の実刑だった。
 この情報は長崎の暴力団にまたたく間に拡がり、ドアを蹴っ飛ばしただけで8ヶ月の実刑を喰わせた鬼検事ということで、一寸した話題になったらしい。
 オレが長崎地検から転出したときには、チンピラ共が集まってお祝いの乾杯をしたというね。」
 
三、 「越山会会長」
「新潟地検高岡支部にいたときのことだった。西山町の町長が手錠腰縄つきでオレの前に連れてこられた。
 西山町といえば、田中角栄が生まれた町で、そこの町長を三十年も勤めている男だった。
 田中角栄の後援会組織である越山会の会長をしており、角栄の一の子分であった。
 この町の土建屋が二人程この男にくっついて長年の間、町の公費を食いものにしていたんだね。それがふくれにふくれ上がり、十数億円になってしまった。さすがに隠し切れなくなって、背任罪でご用となったって訳だ。
 このとき、できるだけ迅速に取調べをするように、上からの指示があってね。なんせ、77才という高齢だし、半年程前にガンの手術をしていたので、いつ死ぬか分らない状態だったんだからな。
 さすが田中角栄が信頼した男だ。潔ぎよかったね。あんたとはえらい違いだ。自分の手帳を出して、積極的に捜査に協力してくれた。
 取調べの合い間に、角栄のことや娘の真紀子のことをいろいろと話してくれたね。
 田中角栄もこの間死んでしまったが、今太閤ともてはやされた風雲児にしては哀れな末路だったな。刑事被告人となってからも政界の闇将軍として君臨したまではよかったが、一の子分であった竹下登という島根の策士に寝首をかかれ、やけになってオールド・パーをぐいぐいあおったというね。その結果が脳溢血だ。 
 竹下登といえば、山根の地元じゃないか。竹下とは親しくしているのかな。いない?竹下登と親しくできるほど、山根は偉くないというんだな。それはよかった。つい口がすべって悪口を言うところだった。
 それにしても、晩年の田中角栄は、脳溢血患者特有の泣きジジイの状態で、テレビで見ていても気の毒だったな。今太閤が泣きジジイになったらおしまいだよね。」

四、 「ウンコ男」
「東京地検にいたときに出会った男は忘れることのできない存在だ。40才台の男で、刑務所を出たり入ったりしている奴だった。20才すぎてからは、ほとんど刑務所の中で過ごしていたんだろうな。
 出所しても3千円とか5千円位の一寸した無銭飲食でつかまって、逆もどり。これを繰り返していたようだ。
 この男が小菅の拘置所にいたとき、房内に自分のウンコを塗りたくったものだから、小菅の方でも手を焼いてほとほと困ってしまった。ウンコを食器になすりつけたり、壁や畳にこすりつける訳で、小菅が音をあげて検察の方になんとかしてくれないかと泣きついてきた。
 オレは小菅まで行ってみたよ。看守や実際に房内を掃除した5人程の受刑者に会って話を聞いたんだ。皆んな顔をしかめて口々に言ったね。「いくら拭いても臭いがとれない。あんな臭い思いをしたのは生まれて初めてのことだった。」
 そこそこの経験をしてきている連中が口を揃えてあれだけ言いつのるんだから、よっぽど臭かったんだろうな。結局、一ト月位その房は使用できなかったようだ。
オレは何とか、器物損壊罪という罪名を考えついて起訴したんだがね。収容先については小菅が断ったものだから、八王子の刑務所へ行くことになった。その後、精神鑑定をして精神病院へ送ったよ。
 しばらくして、病院にいる男からオレのところに一通の手紙が届いた。精神病院よりもまともな刑務所のほうに移してくれという内容だった。早速オレは精神病院まで出向いて会ってみた。男はオレにすがるように嘆願したね。「あんな連中と一緒にいるのはいやだ。気持ちが悪い。普通の刑務所のほうがよっぽどましだ。なんとか移してくれ。」まったく、そういうオマエは何だっていうんだよ。
 結局、シャバでは生活ができない男だったんだな。」

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